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zoom RSS 銀行の税金 その1

<<   作成日時 : 2005/12/31 10:06   >>

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18年度税収」で、政府が18年度に税収がかなり伸びると見込んでいる理由の一つとして、

「銀行の持つ多額の繰り越し損失が、17年度にかなり解消し、18年度には還付が減ると見込んでいる。」

を挙げました。これを裏付ける統計が12月27日に発表されました。
全国銀行協会の「全国銀行の平成17年度中間決算の状況」(http://www.zenginkyo.or.jp/stat/kessan/stat0508.html)です。

この後、少しわかりにくくなるので、ちょっと説明をしておきます。税金に回数券があるというお話です。

回数券は皆さんご存じでしょう。鉄道を例に取利りましょう。鉄道に乗るとき、本来なら、必要な切符を1枚だけを買えばいいのです。自分の判断で回数券を買うのももちろん自由です。どちらを買うかは自分で決められます。

さて、回数券を買うときには、1枚の切符よりも高い代金を払わなければなりません。その代わり、次に鉄道に乗るときは切符を新たに買う必要はありません。ただし、普通の回数券には有効期間があります。乗らないまま、この期間を過ぎると使えなくなります。

新幹線ですと、6枚綴りの回数券で、3ヶ月間有効という回数券があります。1回毎に6枚買うよりは割引になっています。これから3ヶ月の間に6回乗るかかどうかをを考えて、普通の切符を買うか、回数券を買うか決めるのが普通です。

実は、税金にも回数券のような仕組みがあるのです。

バブル崩壊後のデフレの中で民間企業の利益は大幅に減少し、企業が持っていた資産も値下がりしてしまいました。民間企業は経常損益が悪化すると同時に、資産の値下がりに伴う特別損失も発生しました。

銀行は民間企業に対して膨大な貸し出しを行っていました。民間企業の収益が悪化し、資産が値下がりしたために、この貸し出しの価値も減ってしまい、不良債権になってしまいました。これは償却しなければなりません。償却の費用がかかるために、銀行も大きな損失を被ったのです。

普通なら、利益が減れば税金は減ります。ところが、いささか奇妙な話なのですが、税金を算出する際、償却の一部は将来行うべきもので、現在の損失としては認めないという扱いが行われました。このため、銀行は本来納めるべき税金よりも多額の税金を納めなければならなくなりました。そして将来、償却が行われた段階で、その分だけ費用が増加し、利益が減り、税金も少なくなるということになったのです。

いわば、税金の回数券を買ったわけです。最初に本来必要な1枚の切符を買う代わりに、税金回数券を買ったので、この回数券が残っている間は、本来払うべき税金を払わないですみます。最初は多額の税金を納めなければなりませんが、将来は本来払う税金よりも少ない額を払えばいいと言うことになるのです。

こう説明すると、それなりに公平な制度のように思えますが、銀行側から見れば不満なのではないでしょうか。

まず、最初に必要な一枚だけ買うという選択肢は認められていません。この制度では「鉄道に乗りたい者は回数券を買わなければならない。」という規則になっているのです。まあ、回数券の押し売りだと考えればいいでしょう。優越した地位を乱用して、不当な取引条件を押しつけているようなものです。

次に、将来、税金を払うときに減額されると言っても、利益が出なければ税金を払う義務はありません。仮に利益を出せないままにある一定の期間が過ぎてしまうと、この税金回数券は無効になってしまいます。バブル崩壊のせいで有効期間内に利益が出せそうもない銀行(鉄道に乗れそうもないお客)もあったのですが、この回数券を買わされたのです。バブル後のデフレで経営が苦しいとき、税金を先取りされたあげく、利益が出せないときはそれっきりで返してもらえないのですからたまらないでしょう。

当然のことですが、この税金回数券には割引はありません。

さて、この未使用の税金回数券のことを「繰り延べ税金資産」といいます。また、この税金回数券を使うことによって、本来の税金よりも安くなる額を「法人税等調整額」といいます。

最初に10億円払えばいいのに50億円払うとします。10億円と50億円との差40億円が、「繰り延べ税金資産」です。将来、本来なら10億円払わなければならないところを、8億円は「繰り延べ税金資産」を使うことにより2億円で済ますわけです。この差8億円が「法人税等調整額」です。もちろんこのとき「繰り延べ税金資産」は8億円減って32億円になります。

実は、国の側から言えば、税金回数券を売ったときは多額の代金が入る、つまり税収が上がるのでいいのですが、その後は、たとえ銀行が利益を上げても税金は先取りしてしまったので、入ってきません。税収は減るわけです。

ここまでが、銀行の税金の仕組みです。次回、現在の状況と見通しについて書く予定です。
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