労働、社会問題

アクセスカウンタ

zoom RSS パートタイム労働者の賃金 その6

<<   作成日時 : 2006/02/12 20:08   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 7

パートタイム労働者の賃金 その5」で紹介した「フルタイム労働者と同じ仕事を、同じ能率で、同じ責任を持って行っているパートタイム労働者には同じ賃金制度を、具体的にはフルタイム労働者の賃金制度を適用せよ」という賃金制度一元化論はうまくいくのでしょうか?

実は、この主張の最大の問題点は、フルタイム労働者と同じ仕事を、同じ能率で、同じ責任を持って行っているパートタイム労働者以外のパートタイム労働者はどうするのかということです。こちらの方が多数ではないかと思っています。

このような労働者の割合がどれ位なのか、決定的な答えは得られていません。連合の「2004年連合生活アンケート非典型労働者生活編」(http://www.jtuc-rengo.or.jp/shuppan/shiryou/2004seikatsu_enq/hoka/03.html)では、パート・アルバイトの皆さんは
こう回答されています。

同じ仕事、責任の正社員がいる          15.4%
同じ仕事だが、責任の異なる正社員がいる   31.3%
一部同じ仕事をする正社員がいる        21.1%
同じ仕事を行う正社員はいない          22.6%

アルバイトに比べてパートの方が正社員に近いと思われますので、15.4%という割合は低すぎる可能性が高いと思います。しかし、過半数までには達しないでしょう。

なお、この調査は対象が、どの程度日本全体をバランスよく反映しているかどうか疑問が残ります。連合といえども、調査能力には限界があります。なお、連合がこのような努力を払っていることを、私は高く評価しています。

もう一つの問題は、これは゜パート・アルバイト」から見た仕事だと言うことです。正社員の側から見ればそうではないという回答が返ってくるかもしれません。

さらに、パートと「同じ仕事、責任の正社員」が、正社員に占める割合や、その労働条件はどのようなものなのかも分かりません。

そして、今後その割合がどう変わっていくかも、よく分かりません。

このあたりについてはパートタイム労働の実態を知るためには、是非、いい調査が出てきてもらいたいものです。


フルタイム労働者と同じ仕事を、同じ能率で、同じ責任を持って行っているパートタイム労働者には同じ賃金制度をという賃金制度一元化は成立する可能性があります。しかし、それが現在の正社員に適用されるようなものであるかどうかはよく分かりません。

パートタイム労働者に近い形の賃金体系ができるところ、フルタイム労働者の近い賃金体系ができるところ様々だろうと思います。基本的にはその仕事をこなす労働者をきちんと確保できる仕組みが作られていくでしょう。

それによって、パートタイム労働者全体とフルタイム労働者全体の1時間あたり所定内給与の差が縮まる効果はそれほど大きなものではないと予想しています。

人気blogランキングでは「社会科学」の29位でした。クリックしていただいた方、ありがとうございました。今日も↓クリックをお願いします。
人気blogランキング

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
パートタイム労働者のフルタイム化
「パートタイム労働者の賃金 その6」についてrascalさんからコメントをいただきました。その中で若年者の側からのパートタイムの問題提起については、未だ完全には考えがまとまっていませんが、少しデータに基づいて。 ...続きを見る
労働、社会問題
2006/02/14 22:33
パートタイム労働者の賃金について
平家さんのブログ、「労働・社会問題」でパートタイム労働者の賃金の在り方が議論にな ...続きを見る
EU労働法政策雑記帳
2006/02/15 10:58
パートタイム労働者の賃金 その7
「パートタイム労働者の賃金 その6」について で、「いい調査がでてきてもらいたいものです。」と書いたのですが、別の調査があることが分かりました。 ...続きを見る
労働、社会問題
2006/02/15 21:40

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
結局、多くの「組合」というものが力を失いつつあるのは、「正社員」が減って「パート・アルバイト」の立場の人たちが増えているにもかかわらず、組合側がその状況をきちんと把握せず、救済してこなかったからだと思うわけです。でも、今にしてそこに重点を置いてしっかり調査し、状況を改善しようとする努力を行っているのなら、確かにこういう統計は評価できますね。
シーラカンス
2006/02/12 21:56
シーラカンスさん、連合は努力しています。産業別の組合組織、各企業の組合になると様々です。
私は、パートタイム労働者を組織し、利益を守るのは組合にとっても大きな負担だと思います。安い時給のパートタイム労働者から高い組合費を取るわけには行かないし、職場に長くいられない、いたくないからパートタイム労働を選んでいる人に役員になって活動せよとも言いにくいでしょう。
それでも歯を食いしばって、「団結、ガンバロー」でやらないと組合の力は落ちてしまいます。
平家
2006/02/13 20:00
丁寧なご説明を頂きありがとうございました。hamachan先生のコメントも、とても興味深くておもしろいものでした。先日、ある行政関係者と話をしたときに、「均衡処遇」というのは、同じ働き方をしている勤続年数が同じ(あるいは長い)パートについて、正社員と同じ賃金とすることを求めるという、ごく当たり前の労働基準の確保を求めているだけで、同一価値労働同一賃金とかいう御大層な話ではない、といった話を聞きました。「均衡処遇」の問題圏は、社会一般で考えられているイメージとは違い、ごく小さな、ほんの一部のところに関わるような話なのではないかと思ったりしたところです。「基幹化モデル路線」というのは、その意味では、現在の「均衡処遇」の問題圏に沿っている、ということかと思いました。
rascal
2006/02/14 00:47
その上で、「賃金制度一元化」の可能性ですが、それによって賃金格差が縮小する効果はそれほど大きなものではない、ということについては、(根拠レスですが)同感ですし、仮に正社員の賃金制度を変更するにしても、企業の雇用者へのコミットメントに変化が生じれば、意欲や生産性に影響を与えるので、漸進的なものにならざるを得ないでしょう。とはいっても、「中高年化したフリーターをどう処遇していくのか」といった、若年問題側からの問題提起もあるわけで、これについて、外部化された職業訓練機会と雇用の流動性、同一価値労働同一賃金といった「インフラ」の整備で解決したいという意見には、「一理ある」といってしまう気分もあります。特に、そのような問題が生じたのが、彼ら自身の責任ではなく、「時代が悪かった」ということに起因していることからも、そう思えてしまうわけです。(ただし、現時点でフィージビリティーのある議論だとまでは思ってませんが...)
rascal
2006/02/14 00:48
rascalさんの言われる「若年者の就業機会の問題を経路とした問題提起」の観点からは、賃金のみに着目して同一価値労働同一賃金原則の泥沼にはまってしまうよりも、能力開発機会や能力評価システムの問題として設定した方がフルートフルなのではないかというのが、現時点での私の考え方です。
もちろん、現実のフリーターの働き方は千差万別で一概には言えませんが、かなりの程度職場の基幹的な作業に従事するようになっているとすれば、それをきちんとキャリアとして認め、次のステップにつながっていくような仕組みを作ることが重要なのではないかということです。
hamachan
URL
2006/02/15 09:53
そもそも、日本の企業内教育訓練システムは、OJTで様々な仕事を経験させ、そうやって幅広い技能形成をさせる仕組みですが、それを社内的にキャリアと認める仕組みがあるからうまく回っているわけです。西欧的な資格社会では、何年この仕事をしたというだけでは資格にならないのですが(最近少しそういう動きが出てきていますが)、日本ではそれを内部労働市場で認めて、その積み重ねを熟練形成と認めて年功制のもと賃金にも反映させてきています。
ところが、フリーターはそのメカニズムから排除されているために、実質的には職場の正社員と同じような仕事を積み重ねていってもそれがキャリアにならない。そこのところに、何らかの公的な関与の余地があるんではなかろうか、少なくとも賃金制度そのものを抜本的な改めましょうなどと言う世界同時革命待望論ではなく、漸進的な改革の余地があるように思われるのです。
上記ブログで「フリーターにもキャリア権を」というようなことを述べたのも、そんなイメージからです。
hamachan
URL
2006/02/15 09:54
>hamachanさん、コメントありがとうございます。皆さんからコメントをいただけるのが、ブログの良さですね。2月14日のエントリーもお読み下さい。コメント、TB歓迎です。

>rascalさん、読んでいらっしゃるでしょうか?hamachanさんのコメントへのコメント、TBをいただければありがたいです。
平家
2006/02/15 20:58

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
パートタイム労働者の賃金 その6 労働、社会問題/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる