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zoom RSS 安倍政権の経済政策

<<   作成日時 : 2006/11/07 20:14   >>

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実質DDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?」にecon-economeさんからコメントをいただきました。それに触発されてのエントリーです。

安倍政権の潜在成長率引き上げ政策を軸にいろいろな立場を整理してみようと思います。

まず、安倍政権の考え方は、素朴に市場メカニズムを信頼しているのではないかと言うところから始めます。この立場に立てば、短期的にはともかく長期的には市場メカニズムは有効に機能して、生産物の市場では潜在的な供給の水準で需給は一致し、労働市場では自然失業率が成立する。したがって、そのメカニズムがうまく働くように障害を除去しつつ、潜在成長率の引き上げを図っていけばよいということになります。その障害の候補は不必要な規制です。小泉政権でも不必要な規制をなくすとしていましたので、新政権としては、差別化のためにも(あるいは、小泉亜流と呼ばれないためにも、新味を出すためにも)後者を強調することになるのではないでしょうか。とりあえずそうだと仮定します。

これに近い立場から、考えていきますと、まず、インフレターゲット導入論です。基本的には市場メカニズムを信頼するものの、様々な条件を考えると、そのメカニズムをうまく機能させるためには、デフレからの完全な脱却、マイルドなインフレーションが必要で、そのためにインフレターゲットを導入しようというものです。拡張的なマクロ財政政策は、必要ないし、財政の問題を考えると現実的でもないと否定的でしょう。

安倍政権の考え方での「障害」の主なものはデフレであるとすれば、形式的には矛盾しません。親和性は高く、安倍政権がこちらに転じても、そう不思議ではありません。

やはり近い立場がもう一つあります。基本的には市場メカニズムを信頼するものの、様々な条件を考えると、そのメカニズムをうまく機能させるためには、物価の安定と金利機能の回復が重要で、柔軟な金融政策が必要だとするものです。日銀がこの立場でしょう。

これらとの立場との距離が良くわからないのが、増税主軸の財政再建優先を唱えるグループです。基本的に市場メカニズムを信頼しているのかどうか分かりません。財政出動に反対するための理屈として信頼している振りをしているような気もします。財政が健全であれば、市場メカニズムはうまく働く(十分条件)と思っているのかもしれませんし、健全でなければ市場メカニズムはうまく働かない(必要条件)と思っているのかもしれません。

やや遠いのが、私が書いたような考え方です。仮に長期的には市場メカニズムが働いて、労働市場で自然失業率での均衡にに到達し、潜在成長率で経済が成長するとしても、(ここを、長期的には市場メカニズムが働いて、労働市場で自然失業率での均衡にに到達し、潜在成長率で経済が成長するがと変える人もいるでしょう。)その自然失業率、潜在成長率そのものが、現在の短期的な需給関係によって影響され、現在需要が不足していると将来の自然失業率が高く、潜在成長率が低くなってしまう。短期にも目を配れということになります。

さらに遠いのが、長期的に市場メカニズムが働いても、自然失業率に到達し、潜在成長率で経済が成長するとは限らないとする立場です。ケインズ的な経済観を持っています。

以上は、市場の長期的な調整機能への理解の差を基準に考えましたが、これとは別の考え方もあります。さらにいくつかの立場があり得ます。

まず、市場メカニズムを問題とはせず、(あるいは考えず、)短期的な需要の不足によって生じる(生じていると考える)問題、例えば地域間格差、が大きすぎると考える立場です。そのときどきの短期的な不均衡にもある程度の対処は必要だとの主張に繋がります。選挙での当落を気にする政治家に多いかもしれません。

もう一つが、長期的に市場がマクロの生産水準についてどのような機能を果たそうが、営利目的の企業が生産を担う以上、必ず分配と社会的な地位の問題が発生するとする立場です。特に問題なのは所得、資産の分配の問題です。また、貧困や社会的排除の問題があります。格差と言い換えてもいいかもしれません。これには処方箋によって三つの派があるようです。総称はないようです。

一つは、地方での公共事業などを支持する派。

もう一つは、政府が大規模な所得再分配を行う、伝統的な福祉国家を支持する派。

この二つの派は、マクロ経済観ではケインズ派と親和的でしょう。しかし、長期的な市場メカニズムの機能を信頼する立場と絶対に相容れないわけでもなさそうです。

なお、二つの派の政策は、背反するものではありません。同時に実施することも可能です。これらとケインズ的な財政運営をやれば、大きな政府派あるいはポピュリズムということになるのかもしれません。

三つ目は、市場での価格決定を直接規制することにより、分配そのものを変えようとする派。規制としては、最低賃金やパートタイム労働者の処遇についての規制、同一価値労働同一賃金などの規制が上げられます。左派あるいは人権派と呼んだら、ご本人たちはどのように感じられるのでしょうか。経営者、経済学者からの受けは良くないようです。

最後の一つは、私がよく理解していないので不正確かもしれません。伝統的な所得再配分では、所得の問題はともかく社会的な地位の問題が解決できない、あるいは悪化させるとして、質の高い労働の場への参加を促進することにより、所得の分配と社会的な地位の問題の同時解決を図ろうとする立場です。この派の中には、大規模な所得再分配は財政上持続可能でもないし、国民の支持も得られないと考える人が多いのかもしれません。

基本的には市場メカニズムを信頼するグループが、分配と社会的な地位の問題をどう考えているかを想像してみると、こうではないかと思います。

ともかく、成長率を上げれば一人当たりの所得は増加し、自然失業率まで失業率は低下する。相対的貧困はともかく、絶対的貧困はなくなる。問題は残るが、それは大きなものではない。


こうしてみると、実に混沌としていますね。

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