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zoom RSS 「規制権限の分権と二重行政」について その2

<<   作成日時 : 2008/02/06 20:53   >>

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「規制権限の分権と二重行政」について」の続きです。

すなはらさんが、「続・規制権限の分権と二重行政」で、二重行政についての地方分権派の主張を「地方自治体が各地域のニーズに合わせて「個別労働関係紛争の処理」という事務を行えばよい,という話になります。住民のニーズがあれば地方政府もそういう事務をちゃんと行うだろう」と紹介されています。

この二重の是非という点でおもしろい例があるのを見つけました。

妊産婦の健康診断の助成です。
都道府県の例ではありませんが、市町村によって税金で助成される妊婦健康診断の回数に大きなばらつき(1回から16回まで)があるという朝日新聞の報道がありました。こんな内容です。
「なぜこんなに差があるのか。助成の回数や費用は市町村が自分の懐具合で決めているからだ。
97年度までは、国と都道府県が健診助成のためだけの補助金を出していたので、全国どこでも最低2回の助成が受けられた。
だが、98年度からは、この補助金をやめ、代わりに「標準的な行政サービスに必要な費用」の一部として認定。収入が足りない市町村に国から配る地方交付税で「面倒をみる」ようにした。役所の言葉で「措置」という。交付税は国が使い道を縛らないので、「地方分権」になるとの考え方だ。」

ニーズがあれば地方がちゃんとやる、やれるというのは確かでしょうか?そうは行かないケースがいろいろあるのでは?そういう可能性を認めつつ、それでもいいんだというところまでいかないと、本当の分権議論にはならない気がします。

健診の場合には、97年度までは、最低2回を保障する国と都道府県の助成があり、それに市町村が懐具合と政策の重点の置き方に応じて助成をしていたわけです。二重行政といえばいえないことはありませんが、別に妊産婦が不利を被っていた訳ではありません。検診以外に財源を振り向けるという地方の判断は制約されていたかもしれませんが。

二重行政といっても二重の規制(国と地方自治体の両方の許可を得なければならない)と二重のサービス、助成(国による最低限度の保障と地方自治体による自主的な上乗せ)では意味が違うのではないでしょうか?二重行政=弊害とも言い切れないような気がします。

「規制主体と被規制主体の関係を念頭に置いたときにどのように機能を整理すればよいのか,という視点は必要」というのは、すなはらさんの鋭い指摘だと思います。

この場合に即してみれば、あっせんは「規制」ではなく、サービスです。民事の関係の紛争は、当事者で解決できればいいのですが、第三者が入った方が解決しやすい場合もあります。第三者の入り方はいろいろあります。あっせん、調停、仲裁といったものが、代表的ですが審判や裁判もあります。このなかで、あっせんというのは、斡旋人が両者の言い分を聞き、議論を整理しながら、両者に歩みよりを促すというのが基本で、解決のために役立つなら、斡旋案を出すこともあるというのが一般的な理解です。あっせん案が出る前に争っている両者が歩み寄って、妥協しても良いし、斡旋案に両者が合意すればそれでもいい。ある意味で融通無碍な手続きです。

斡旋人は、実は誰でも良いのです。行政でなくとも一向に構いません。昔は夫婦喧嘩を、仲人が斡旋するなどということもありました。しかし、形式的に誰でも良いと言っても、あっせんが実を結ぶためには条件があります。それは、あっせんに当たる人間(組織)が、両者から公平で、中立的、良識があって、しかも自分の利害を離れて、紛争解決のために努力してくれると信頼されることです。どちらかがあの人(組織)は、えこひいきをするかもしれないとか、常識がないと感じたらいくらあっせんの制度があっても、そんなもの機能しません。

個別労働関係紛争について、都道府県が困難を抱えるのは、誘致企業で紛争が起こったときでしょう。都道府県は、普通、企業を誘致して、雇用の場を作り、地方税収入を増やしたいと考えています。場合によれば造成はしたものの売れ残ってしまった工業団地をなんとしてでも売らないと財政が破綻しかねないといった場合もあるでしょう。多くの県では、「商工労働部」などの名称の組織があって、企業誘致に取り組んでいます。正当な業務です。
しかし、ここで微妙な問題が起こります。お百度を踏んで、多額の補助金を払って誘致した企業で個別労働紛争が問題が起こったとしましょう。このとき都道府県は中立、公正な立場をとってくれると労働者から信頼されるでしょうか?別に都道府県がえこひいきをするといっているわけではありません。でも、実際に公平、中立であっても、労働者に疑いを抱かれただけであっせん人としては不適当です。理論的には、こういうとき、地域とは一線を画し、地域の利害に縛られない国の方が信頼を得やすいということもあり得ます。

これは一例ですが、こういうケースを考えると、多様なチャンネルを用意しておき、使い分けができるようにするのは、良いことなのではないかと思います。

すなはらさんの「一概にこの手の二重行政が全て悪いと言えるわけではないんじゃないかと思われます。」というご意見に賛成です。

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