労働、社会問題

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zoom RSS では、何を基準に解雇するのか?

<<   作成日時 : 2009/01/07 23:32   >>

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非正規社員の雇用・生活保障」で「もし、不安定な職にそれなりのリスクプレミアムがついていて、しかも低賃金になっているということであれば、正社員と非正社員の労働の質、仕事に差があるか、正社員たる地位には、例えば拘束性が強いとか不払い残業をしなければならないといったマイナスがあり、そこに別のプレミアムがついていると考えられます。また、・・・生産性運動に(時に賃金の支払いなしで)参加するという義務があった可能性もあります。
そうであれば9の「正社員と非正社員の不当な格差」は実は不当ではない可能性が出てきます。また、7の「正社員の既得権益」は(暗黙の)契約を結び、その契約上の義務を履行することによって、に入れたものであるということになります。・・・契約に基づいて義務を果たし、それによって得た権利を既得権益と軽々しく呼ぶべきではありません。」という部分にhamachanさんから「次のようなコメント」をいただいています。

まあ、不払い残業だの、賃金なしの生産性運動というのは労働基準法上の問題もあるのでなんですが、正規と非正規の違いを拘束の有無あるいは程度で説明するというのは、労働法学でもよくなされる説明です。ただ、それで説明されるのはあくまでも自発的な非正規労働、余計な拘束を受けたくない上に、首になっても大して痛くない主婦パートや学生アルバイトの低賃金不安定雇用を説明するのに有用ではありますが、そういう就労形態をデフォルトで与えられてそれ以外の働き方のチャンスを与えられない人には必ずしもそれで納得できるわけではないでしょう。
本ブログでも何回も書いているように、非正規労働は昔から存在するわけですが、それが社会問題になったのは戦前の1930年代、戦後の1950年代、そして遙か時間を超えて、2000年代であって、その間のとりわけ1970年代から90年代にかけての時期は、(男女平等の議論のコロラリーとして以外には)あまり社会的関心を呼ばなかったのですね。


ひょっとしたら誤解を受けているのかもしれないのですが、現在見られるよう「正規と非正規の」賃金などの処遇の「違いを拘束の有無あるいは程度で」100%「説明」できる、つまりこの違いは合理的なものなのだから対策など考える必要がないと、私が考えているわけではありません。この違いが何によるものなのか、私にとってはパズルなのです。

本筋に戻って整理解雇の話しを続けると、現行の法制は次のとおりです。

労働契約法第16条で普通解雇も含め解雇一般について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」解雇は解雇権乱用として無効であることが定められています。また、第17条第1項では、有期契約労働者の契約期間中の解雇について、使用者はやむをえない事情がある場合でなければ、解雇できないと定めています。

これでいうと、整理解雇が必要になった場合、実施ししやすい順に並べると、こうなります。
1 無期契約の労働者の解雇
2 有期契約労働者の契約期間中の解雇

そして、本質的な有期契約、例えばイベントやセール、お歳暮や年賀状の配達など本質的に臨時的・一時的である業務、一定期間掛かる工事などのために結ばれた有期契約の期間が満了した場合は、当然、契約を更新する義務はありません。これを考えると、こうなるでしょう。
1 本質的な有期契約の満了による雇用の終了
2 無期契約の労働者の解雇
3 有期契約労働者の契約期間中の解雇

仮に、新規採用の停止や非正社員の雇い止めを企業の解雇回避努力義務として評価している判例法理のような序列を認めず(2009年1月8日 hamachanさんの「ご指摘」を受け修正しました。)いわゆる正社員の既得権益を否定したとすると、誰を解雇するのかという問題に直面することになります。解雇権の乱用の考え方から言えば、整理解雇であっても、特定の労働者の解雇には違いがないので、やはり、

労働契約法第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

にしたがって、整理解雇に当たって他の労働者ではなくその労働者を解雇する客観的に合理的な理由が必要であり、その人選が社会通念上相当であると認められる必要があるでしょう。整理解雇が必要であることが認められたとしても、それだけで企業側が自由に解雇対象者を決められるわけではないのだろうと思います。

「その人選の基準はなんなのか?」これに応えない限り実際に整理解雇はできませんし、その基準に従った整理解雇の効果も分かりません。正社員の雇用保障を弱めるというのは、ある答えを否定することであって、何らかの答えを出しているわけではないのです。

例えば、勤続年数の短い者から解雇、雇い止めをするということであれば、正社員の既得権益はなくなったとしても、勤続年数の長いものに新たな既得権益を与えることになります。私には、「女房子どもの生活に責任を負って」いないものから解雇、雇い止めをするということに一定の合理性を感じてしまうのですが、この場合も新たな既得権益を創り出すことに変わりはありません。年金など生活の糧を得る別な手段のある者といった基準でも同じことです。「くじ引き」といった手法ではなく、何らかの基準を建てるのであれば、そこには必ず解雇されにくい労働者が出てきます。雇用保障には必ず差が出るのです。

その基準が何なのか、それにより、より強い雇用保障(という既得権)を得るのが誰なのかを明らかにしないと、議論は終わりません。

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