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zoom RSS 3月までのアメリカ国債金利安定の理由

<<   作成日時 : 2009/06/18 15:05   >>

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厭債害債さんが「NY Fedダドレー総裁のインタビュー」で、次のように紹介されています。

どのような状況や条件で連銀が国債買い切りの増額が可能かという質問に対しては、さまざまな状況を総合的に判断して必要性を判断するといういわば当然の回答です。緩和プログラムの究極の目的はモーゲージ金利を引き下げて借り換えの波を引き起こしていくことで、それは実際に行われた、と言います。政策のゴールはモーゲージ金利の引き下げだけではなく、全般的な回復を促すためのものである、ということです。

米国債の買い切りを考えた時、私は人々がこれをマネタイゼーションを呼び、ワイマール共和国(訳注:ハイパーインフレで有名)やジンバブエの道を歩むというのではないかと恐れた。その後英国が買い切り策を発表し、これがその観点での大きな懸念を呼び起こさず市場が好意的に反応したことで、私は気が楽になった。我々が米国債買い切りプログラムの有効性をはかる唯一の方法はやってみることだった。それゆえ我々は「走りながら考えている」(learning by doing)状況だ。)

問題の出口問題については次のように述べています。
我々は6ヶ月間3000億ドルの買い切りプログラムを用意したが、期間の終わりにいきなりゼロにしてしまうのが良いとは思えない。(とはいえ国債についてはやめても)財務省にとって大きな問題になるとも思えないし、そもそも我々のシェアは米国債市場全体からみればきわめてわずかだ。MBS市場は違う。我々はMBS市場できわめて大きなポジションをとっている。こちらを突然終了してしまうと金利が大きく上昇し問題が生じる。



この間発表されたアメリカの資金循環表を見ると1−3月期の国債(Treasury securities)残高の増加額は、4,662億ドルです。このうち通貨当局(Monetary Authority)の保有額の増加は164億ドルですから、一見するとこの時期にはマネタイゼーションは行われていなかったように見えます。

しかし、この時期には、「モーゲージ金利を引き下げて借り換えの波を引き起こしていく」ためなのか、アメリカの不動産市場を崩壊させないために、通貨当局が不動産担保の債権を証券化した債券(Agency−and Government−Sponsored−Enterprises−backed securities)を、傷物と知りつつあえて買いに出いたのかはわかりませんが、通貨当局の不動産担保証券の保有残高は、2,673億ドル増加しています。この買いに応じて、あるいは乗じて、この債権を売ったのは家計部門です。家計部門の残高は3,440億ドル減っています。

そして、家計部門は、どうやらそして売った代金で国債を買ったようです。家計部門の国債残高の増加額は、3,773億ドルです。不動産担保証券の減少額とほぼ同額です。これによって国債の増加額の8割が消化されています。今までだと考えられない家計の行動です。

なお、これにより不動産担保の債権の残高はほぼ維持されています。残高は8兆1,832億ドルで146億ドルというわずかな額ですが増えています。借り換えも行われているのでしょう。

また、リスクが家計から通貨当局に移転しています。家計は純資産(net worth)を1兆3,297億ドル減らしています。この状況では危険を回避するように動くのは当然でしょう。

脇道にそれますが、おもしろいことに、家計(household)の持つ不動産(real estate)は、18兆3,182億ドルから17兆8,701億ドルへ4,481億ドル減っています。貸し手に渡したのかもしれません。その割に家計の負っている住宅ローン(home mortgages)は減っていません。16億ドル増えています。どういうことでしょうか?さて、金融資産は41兆1,793億ドルから40兆2,955億ドルへ8,838億ドル減少しています。家計が貯蓄して、その分で金融資産を増やしている、その中心が国債であるというわけではないのです。あくまで資産の入れ替えです。負債のほうは、14兆2,549億ドルから14兆1,405億ドルへ、1,144億ドルの減少です。

さて、これでも家計はまだ、不動産担保の債権を持っています。3,967億ドルあります。これを買い取り、家計がその代金で国債を買えば、国債消化はまだできますが、そう長くは続きません。

さて、通貨当局が不動産担保の債権を証券化した債券を買ったとすると、負債も増えているはずです。負債の中心は準備預金(Depsitory institution reserves)と銀行外の通貨(Currency outside banks)ですが、準備預金は減り銀行外の通貨はほとんど210億ドルしか増えていません。いやそもそも負債が減っているのです。実は、金融資産も増えていません。

 何が起こったのかというと、その他の金融資産の内、非公式外国通貨(Nonofficial foreign currencies)が減っているのです。5,537億ドルから3,099億ドルに、2,438億ドル減っているのです。不動産担保の債権を証券化した債券の増加をほぼ打ち消しています。しかし、「非公式外国通貨」とはいったい何でしょうか?聞いたことがありませんでした。そこで注をみると外国の通貨当局に貸したスワップ(Reciprocal currency arrangements with foreign central banks)です。

結局、「通貨当局が外国中央銀行に貸していたドルを回収して、家計からを不動産担保の債権を証券化した債券買い、家計がその代金で国債を買って、国債を消化する。」という想像もできないような取引が行われていたことになります。これで、国債が消化され3月までは国債の金利が安定していたわけです。あまり、長続きしそうにないフローです。

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
TBならびにリンクありがとうございました。ご指摘のように米国の資金動向の理解が今後きわめて重要になってくると思います。
厭債害債
2009/06/22 08:58

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