労働、社会問題

アクセスカウンタ

zoom RSS ハローワーク その1

<<   作成日時 : 2009/11/22 15:42   >>

ナイス ブログ気持玉 5 / トラックバック 2 / コメント 3

「2割職安」という言葉があります。職業安定所、つまりハローワークのシェアが2割しかないことを揶揄した言葉です。

その根拠になっているのが、雇用動向調査です。20年調査の結果の統計表がここにあります。http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001051085

さて、「 第12表 産業(中分類)、企業規模(GT・F)、職歴、入職経路別入職者数」を少し加工してみました。

入職者、つまり仕事に新たに付いた人のうちハローワークを利用して仕事のを見つけた方の割合は、19.1%です。このほかにハローワークインターネットサービスを利用して仕事を見つけた方が3.7%います。民営職業紹介は、わずか1.7%です。学校が在校生に対して機能を果たしており、5.5%のシェアを持っています。これも当然でしょう。また、「広告」が32.3%のシェアを持っています。

仮にハローワークが廃止されるか大幅に縮減されて、民営職業紹介がハローワークのシェアの10分の1、1.9%をとることができれば事業は2倍以上になるわけです。ハローワークのシェアのうちクリーム部分がこれだけあればという前提ですが。

さて、この数字はやや誤解を招くかもしれません。実は入職経路は大きく二つに分けられています。一つは「職業紹介機関等」であり、もう一つは「縁故・出向等」です。人の問題では、必ず人のつながりが活用されます。縁故などは決してなくならないでしょうし、否定すべきものでもないように思います。「職業紹介機関等」の範囲に限ってみれば、ハローワークのシェアは25.7%となっています。民営職業紹介、学校、広告は多数の経営主体からなっていますからハローワークはこの業界でダントツナンバーワンの組織であると言えるでしょう。

にもかかわらず、評価が低いのはなぜでしょうか?
それはおそらく、ハローワークがマスコミに取り上げられやすい大企業ではなく、中小企業で強いからでしょう。企業規模別にハローワークのシェアをみると、次のようになります。
1,000人以上     13.4%
300から999人    18.6%
100から299人    29.8%
 30人から99人    32.7%
  5人から29人    35.9%
広告は全く逆で大企業に強いのです。端的にいえば、広告代を払うことができ、ネームバリューのある企業が広告を利用しているということでしょう。

しかし、採用そのものは300人以上が250万人、5から299人は420万人です。

人さまのブログに(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-b7c2.html)寄せられたコメントを引用するのは、いささか気が引けるのですが、ハローワークの職員の方が、こう書かれています。

「では、ユニバーサルサービスとしてのハローワークにおける職業紹介の実際の現場はどうなっているのでしょうか。窓口に来る求職者のレベルは、それこそ凄まじい「玉石混淆」です。求職者だけでなく、求人についても「玉石混淆」。民間の紹介事業者は、職種ごとに細分化された労働市場をマーケットとして求職者と求人者を絞りこみ、選別しているわけです。」

おそらく、これが実態で誰でも求人を出せ、誰でも求職活動をできるハローワークは必然的に玉石混交になるはずです。

社会が「玉」だけでできているのではない以上、ハローワークのようなシステムは不可欠でしょう。

ここをクリック、お願いします。
人気blogランキング
人気blogランキングでは「社会科学」では47位でした。









テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ハローワーク その2
で書いた「2割職安」と並んでハローワーク批判の定番は「(相も変わらず)製造業」中心のハローワークです。これを聞くたびに、「相も変わらぬ固定観念に基づいた悪口だな。」と感じます。 ...続きを見る
労働、社会問題
2009/11/23 11:21
ハローワーク その4
さて、「仮に求人手数料を政府が負担すれば、一般労働者の職業紹介も民間で行うことは、十分に可能である。」という主張があります。 ...続きを見る
労働、社会問題
2009/12/01 21:57

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。ハローワークの職員です。いつも数字を妥当に解釈される洞察力に勉強させていただいております。小泉元首相が、「ハローワークを民営化したら面白い。」という趣旨の発言したときのことを思い出します。当時は現在のように社会保障と雇用を結び付けていくという考え方も世間にほぼ皆無で、そもそも職業安定行政にいる私自身が、仕事探しという一見極めてプライベートな領域に、何故国が関与する必要があるのかな、と自問していた有様でした。あれから時代や世の空気が大きく変わり、職業紹介や職業訓練に国が関与することの意味を、徐々に理解できて今に至ります。
ハローワークの評価が低いことは、平家さんが指摘してくださった数字の妥当な解釈がされていないことのほかに、求職者の不満や批判が、本来向けられるべき対象を外れて、第一線機関であるハローワークに集中してしまうことがあるからと感じてます。例えば、「ハローワークに行ってもブラック企業ばっかりだ、役立たずな役所。」という不満。これについても本来不満・批判の対象は、その会社、さらには法的制度的不整備に向けられるべきものですが、求職者からみれば、そんな会社を紹介したハローワークが悪い、と対象がスライドするのです。違法でない限り企業からの求人を受けるのが原則ですので、「ブラック会社を紹介するな。」という求職者の気持ちは理解できますが、そもそも「ブラック会社」という概念は、当然明確に定義できるものでもなく、仮に定義されたとしても、明確な違法性を認められない限り紹介せざるをえません。また、窓口で「この会社はブラックっぽいよ。」なんて話も、公的機関である以上、口が裂けても言えません。(続きます、長くてごめんなさい。)
ハロワ職員
2009/11/29 10:41
(続きです。)また、逆も然りです。「ハローワークからはろくな求職者が紹介されない。」という会社からの評判。キャリアコンサルの資格を取得していればなお更、窓口で対応していて、社会的・職業的スキルが高い人・低い人はある程度見分けがつきます。この人は紹介しても面接で落ちるだろうな、という方についても、十分説明してものなお、本人の強い要望があれば紹介をするのが原則です。(当然、わずかなスキル不足や、本人の熱意によりカバーできる求人条件とのギャップに関しては考慮に入れ、求人側に強く推すことも多いです。)そのような求職者を紹介した場合、求人者からは「こんな求職者を面接によこすな。」というお叱りを受けるわけです。でも、私どもは重々承知で紹介せざるをえないのです。この批判についても、例えば公的職業訓練の体系的不整備を批判するなら的を得ておりますが、ハローワークの紹介のあり方のみに問題がスライドするわけです。
上に挙げた求職者・求人者の批判・不満はまさに、社会的構造的問題であるのに、ハローワークの紹介の窓口で顕在化するために、ハローワークに批判・不満が集中するのです。「ちゃんと紹介してくれない。」と、ハローワークの職員が求職者に火をつけられた事件がありました。まさに、この問題が限界を超えて極まってしまった感があります。(続きます。長くてごめんなさい。)
ハロワ職員その二
2009/11/29 10:43
(最後です。)民営化の議論はなくなりましたが、今度は「地方移管」の議論が立ち上がりました。地域に根付いた施策の展開にはおおいに賛同するところですが、現在の人員と事業環境で、きめ細かいサービスを提供するのは不可能です。なんとかさばく、という情けない現状も多くがサービス残業に依拠しやっと成り立っている有様なのです。地方移管すれば、地域によっては更なる労働行政サービスの低下を招くことは目に見えています。雇用システムの再構築を考えるならば、主体は国でも地方でもかまわないので、サービスの一定水準が今より高いレベルで確保されること、それが遵守されることがとても重要です。
ハロワ職員その三
2009/11/29 10:44

コメントする help

ニックネーム
本 文
ハローワーク その1 労働、社会問題/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる