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zoom RSS 労働市場のタイト化が進んでいくと何が起こるのか?

<<   作成日時 : 2017/05/08 09:32   >>

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人手不足なのに平均賃金があまり上がらないのはなぜか?」から枠を広げて、労働市場のタイト化が進んでいくと、何が起こるのか?を考えてみました。

賃金の面では、時間当たり賃金の格差の縮小が進むでしょう。賃金水準が高いところほど賃金が上がりにくいのですから自然です。パートタイム労働者の時間短縮が進んだときは、月当たり賃金の格差は拡大するかもしれません。その場合でも、フルタイム労働者間の賃金格差は縮小するでしょう。
今年の春闘では、中小企業組合の賃金引き上げ幅が大企業組合のものを今のところ上回ているようですが、最終的にもそうなったら、これはタイト化が格差縮小につながることを如実に示すものとなるでしょう。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2017/press_release/press_release_20170413.pdf

世帯でみた所得格差、世帯の所得でも等価可処分所得でもいいですが、はどうなるでしょう。所得が少ない年金生活者などが、たとえ短時間でも働けるようになると低所得層の底上げになり、格差は縮小するかもしれません。相対的貧困率も下がりそうな気がしています。

労働市場がタイトになると仕事探しを始めたとき、仕事が見つかる見通しが高くなり、かつ賃金も緩やかに上昇して、仕事を見つけたときに得られる賃金も高くなります。これまで、仕事探しをやめていた人たちも仕事探しを始めるでしょう。労働力率は高まることになります。これは一方では労働市場のタイト化をスローダウンさせる効果を持ちます。しかし、実際に就業する人、雇用される人は着実に増えていくでしょう。たとえ人口は減っても、労働力人口、就業者、雇用者は当分の間、増えていくでしょう。
現実に男性の労働力率は2016年に上昇しました。

労働生産性はどうなるでしょうか?時間当たり生産性を考えれば、低生産性部門から生産性の高い方に労働投入は移っていきますので、平均的な生産性は基本的には向上していくだろうと思われます。非常に生産性の低い労働者まで雇用することになれば別ですが。労働生産性を考えるときには、設備投資のことも考えなければなりません。賃金が上昇していけば、設備投資を行って労働生産性を上げた方が採算が良いということになります。現在の日本では設備投資の障害になるような要素はなさそうです。資本設備の生産能力には余裕がありますし、超低金利の今、金融も全く障害になりそうにはありません。労働市場の需給が緩んでいた時に開発されていた技術も実際に資本に体化されて活用されるでしょう。平均的な生産性の引き上げの余地は十分にありそうです。

設備投資をしてもダメな会社の場合は、製品を変えてしまうという方法もあります。ことです。完全に商売を替えてしまうという思い切った方法もあるし、今までの製品よりもう少しだけ利幅の大きい少し高めの商品にマイナーチェンジをするという手堅い方法もあります。これらは付加価値で見た労働の生産性を上げるという意味を持ちます。極端なケースでは、思い切って商売、事業をやめてしまうというのもあります。事業主が高齢化していて、いい後継ぎもいないということであれば、人手不足のときは、ある意味で廃業のいいタイミングです。従業員もより生産性の高い分野で再就職できる可能性が高く、やはり平均的な生産性は上昇するでしょう。

日本の労働生産性の低さを嘆く声がありますが、労働市場の需給が緩んでいるときには生産性が上がりすぎても困ります。高生産性で働く労働者と失業者の組み合わせはあまりいものではありません。労働市場がタイトになれば、市場のメカニズムを通じて労働生産性は自然に上がっていくものです。「人手不足は労働生産性向上の母」です。

日本経済全体で考えると、労働市場がタイト化し、雇用が増加し、賃金が緩やかにであっても上がり、雇用不安が収まると勤労者家計の将来への不安感が消えていき、消費が活発になるでしょう。労働生産性向上のための投資の増加と相まって、需要が拡大し、経済は成長するでしょう。消費と投資が増えれば、輸入が増えない限り財政赤字は縮小します。雇用の増加と賃金上昇は税収と被用者保険の社会保険料の増収に直結します。
4月の勤労者家計の雇用環境見通し」は前年同月に比べて改善しています。

さらに、非正規労働者から正規労働者への転換が進めば、少子化を抑制することにつながります。これは将来の労働力供給の増加につながります。

人手不足が経済成長を制約するという懸念を強くお持ちの方が多いようですが、労働市場のタイト化が問題を引き起こすようには思えません。20年間も労働市場の需給が緩んだ状況が続いたので、40歳までの方は引き締まった状況を経験したことがありません。タイトな状況をこれまでの常識が通用しない未知の領域として警戒されているような気がします。

人間の労働の価値が高い世の中というのは、なかなかいいものなのですが。


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