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zoom RSS 雇用保護 その2

<<   作成日時 : 2005/12/11 10:23   >>

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雇用保護 その1」の続きです。
さて、議論を続ける前に、ここで補足を。

労働基準法や最高裁の判例で、普通解雇の権利の規制が行われている意味を少し。

まず、ここで規制されているのは、経営上の理由による解雇には限りません。企業の秩序を乱したとか、反社会的行動をとって、企業に迷惑を掛けたとか、仕事の能率が悪いといった理由による解雇については、「合理的」かどうかは比較的客観的に判断でき、正社員であるかどうかが影響することは少ないでしょう。その意味では、あまり大きな問題ではありません。本人に責任や問題があるわけではないが、本人をもはや必要としなくなったから解雇するという場合の問題、つまり整理解雇の場合の問題です。

次に、解雇されるのは特定の個人です。例えば、製品の売れ行きが落ちて、工場で働いている10人のうち1人を解雇する必要があるとします。誰かを解雇する事が必要なのですが、解雇されるのは特定の人間です(工場や、企業の社員全員を解雇する場合も特定されているという点では同じです)。

三番目ですが、最高裁の判例はこれは民事上の争いについての判決です。解雇された労働者が、納得すれば、あるいは納得はできなくとも裁判に訴えなければ、裁判は行われず、判決も出ません。(裁判にもお金、時間、手間、評判といった費用がかかりますから、貧しい労働者はこのような判例があっても保護されないと言うことです。企業相手に訴訟を起こす労働者に裁判費用を貸す金融機関はほとんどないでしょう。また、あまりに賃金が安く、裁判する価値がないとか、すぐに別な口が見つかるので裁判するより、転職した方がいいという場合もあるでしょう。)

最低賃金法のような罰則付きの法律の場合は、話が違います。最低賃金が1時間当たり650円と決まっていれば、当事者が時間給550円と決めても、労働者が行政機関に訴えれば国が650円支払わない企業に払うよう指導し、随わなければ裁判に訴え、刑罰を課します。この場合、裁判をするのは行政機関であって、費用も行政機関が払います。労働者の負担はあまりありません。労働者の保護という点では、こちらの方が有効でしょう。

では、労働基準法第18条の2のような罰則のない法律の場合はどうなるのでしょうか?よく分かりません。

四番目ですが、最高裁の判決のどこにも「正規労働者」、「非正規労働者」などという言葉は出てきません。この判例の対象は全ての労働者です。
非正規労働者であっても、一人一人検討して、その解雇が「不合理」で、「社会通念上」是認できない場合には、解雇無効になるのです。
この点、少し誤解があるように思います。

 本当に問題なのは、正規社員、非正規社員であることが「合理性」の判断や「社会通念」の考えにどのように反映されるかです。

つづく。

(12月11日追記 一部修正しました。)
(12月13日追記、労働基準法について追加しました。太字になっています。)
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「雇用保護 その2」について さて、整理解雇の場合、有名な判断基準があります。次の四つです。いずれも抽象的で、実際に裁判になってみないとどんな判断が下されるか、予想がつかないと批判する方がいます。全部満たさなければならないのか、全体として判断されるのかも不明確です。この点、後にふれようと思っています。 ...続きを見る
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内 容 ニックネーム/日時
「つづく」とあるので、これから書かれるのだろうと思いますが、一般的に正規労働者と非正規労働者の雇用保護の違いとして指摘されるのは、民法上の解雇(雇用契約の一方からの終了)において保護水準が異なると言うことではなくて、後者の有期雇用契約の期間満了に伴う雇い止めに対し、解雇権濫用法理が不十分にしか準用されていないという点であるように思われます。
そして、いわゆる整理解雇法理において、正規労働者の解雇の正当性を判断するに当たって、正規労働者の解雇に先立って、非正規労働者の雇い止めを先行させるべきという要件を含めていることも、この根拠となっていると考えられます。
最後に、現在主張されている解雇規制の規制緩和論においても、解雇権濫用法理自体を否定するものではなく、金銭補償制度の導入を求めているものではないかと思います(それをどう評価するかはまた別問題です)。
hamachan
URL
2005/12/13 16:34
>hamachan
貴重なご意見です。少し別な方向へ行こうかと思っています。また、コメントをお願いします。
平家
2005/12/13 20:07

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