マシナリさんのコメントへのお答え

育児年金の提案」にマシナリさんからコメントをいただきました。ありがとうございます。お答えをしたいと思います。


平家さんも以前は「一般福祉」(この用語はあまり聞いたことがないのですが)の方がよいとお考えになっていたとのことで、やむを得ず代替的な制度として構想されているのではないかと思うのですが、平家さんもご指摘の通り「被保険者となれるものに制約がある社会保険」においては、育児が保険事故になるということ保険制度は少子化を前提としなければ成り立たないのではないかという懸念が残ります。老齢年金は、その被保険者の年齢別に見れば受給開始後は急激に受給する確率が下がっていくために保険事故となると思うのですが、15歳未満の児童(を持つ親)すべてを受給対象として保険事故となりうるのか疑問に感じます。


収支のバランスを懸念されているのであれば、少子化を前提としなければ保険制度として成り立たないということはないと思っています。問題なのは保険料を払う人数と子どもの数のバランスです。仮に、子供の数がどんどん増えていったとします。一時的にはバランスが悪化しますが、子供たちは、将来保険料を支払う側に回ってくれるので、中期的にはバランスは回復します。受給者の増加が将来の負担者に増加につながる点で、老齢年金とは異なります。

当面の見通しに限れば、年齢が下がるにしたがって傾向的に減っていきますので給付対象者は徐々に減っていきます。15歳の人口は117万人強で、最近の出生数は、「8月も出生数は減少」にお示しした通り、100万人強です。大体15万人ずつ支給対象が減っていきますので心配する必要はないと思います。

しかし、万一のことを考えておくのはいいことです。一つの方法ですが、マクロ経済スライドのように人口構成の変化に応じて保険料を自動的に上げたり、給付を下げたりする仕組みを組み込んでおくことも考えられます。ただ、先進国では人口置き換え水準以上に完結合計特殊出生率が高まることはないというのが経験則ですので、あまり心配する必要はないと思います。

特殊法人化された年金機構に膨大な事務作業が発生することのコストもありそうです

事務作業が増えることはご指摘の通りです。幸い、被保険者のリストはありますので、あとは子供の扶養関係を調べることが中心です。これについては健康保険で経験がありますので、何とかなるでしょう。また、口座へ振り込むという作業がありますが、これも年金の支給で慣れているので、何とかこなせると思います。

ただ、日本全体としてい考えると、児童手当の廃止ないし対象者がほとんどいなくなることによる地方自治体での事務作業のコスト削減効果は大きいと思われます。所得制限を実施するための作業がかなりかかっているのではないでしょうか。このコストはなくなります。所得制限をしているので、過去の脱税が発覚して、受給資格のない人が受給していたことが分かると、回収しなければならないはずです。これは大変な作業ではないでしょうか。地方公務員で、このような仕事をしたいと思われる方はあまりいないのではないでしょうか。また、機構でシステムを一本化できるので、地方自治体ごとにシステムを作る必要がなくなるのも大きな効果を持つような気がします。

事務作業の簡素化は大事な話だと思っています。そのためには制度を簡単なものにするのが基本です。均一負担、均一給付というシンプルな仕組みがいいと思っています。

そのような状況で代替的な制度として育児年金を構想するのは自然な流れだろうとは思うのですが、それはすなわち所得再分配は保険制度でしか実施できないという日本の「租税抵抗」の強さを如実に表すものでもあるのだろうと思います。

これはおっしゃる通りだと思います。日本が民主主義国である以上、たとえ感覚的なものであったとしても国民から強い抵抗を受ける制度というのは長持ちしないと思います。民主党政権時代の子ども手当は、財源が基本的に税金で所得や資産による制限がない給付でした。典型的な一般福祉です。普遍的な給付という方がなじみがあるかもしれません。これには所得の高い人になぜ給付をするのだという反発が強く、結局、所得制限付きの児童手当に変わりました。
もし、民主党政権が長く続いて、子ども手当が続いていたとしたら、有権者の中に子ども手当を受けた人が増えていき、自分の貰ったのだからという納得が得られるようになっていったかもしれません。政権が短命に終わったので、どうなったかは永遠に分からないでしょう。
このような国民感覚に合わせるというのも、育児保険を押す理由の一つです。ただ、それだけが理由ではありません。社会的な世代間扶養のシステムは共通のものにしておく方が自然だというのも、かなり重視しています。老齢年金が社会保険方式で定着している以上、育児年金も社会保険にしたほうがいいと思います。児童を扶養する方に対する大規模な再配分の正当性について国民に対する説明がすっきりするからです。

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この記事へのコメント

マシナリ
2016年02月03日 08:25
お答えいただきありがとうございます。
拙ブログのhahnela03さんへのコメント(2016/02/03(水) 08:16:08)にも書きましたが、平家さんご指摘のような制度設計であれば、私が批判した方のブログのような書き方する必要はなかったのではないかと思います。私のエントリの趣旨はその点に尽きておりますので、平家さんのご提案については特にコメントはありませんが、参考にさせていただきたいと思います。
2016年02月05日 09:54
マシナリさん、コメントありがとうございました。私とご批判されたブログぬ試算では見解が分かれていると思います。似ているけれでも違うのでしょう。それにしても防貧と救貧の役割分担にはいろいろな考えがあるものですね。

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