毎月勤労統計の共通事業所

毎月勤労統計の共通事業所についての雑感。
様々な標本統計で前年同月比を計算する前提は、抽出した標本の母集団が同じものであることだ。ある年のある月、20歳以上50歳までの労働者という母集団から標本を抽出して平均賃金を求めたとする。1年後、同じ母集団から標本を抽出して平均賃金を求めたとしよう。この二つの平均賃金から前年同月比を求めるのは合理的で、意味のある計算だ。もし、1年後に、30歳以上60歳までの労働者という母集団から標本を抽出して平均賃金を求め、これから前年同月比を計算したとしよう。計算はできるが、意味はない。

毎月勤労統計の共通事業所の場合、X年の標本は、「事業所を含めX年に存在し、X+1年にも存在し続けた事業所」という母集団から抽出されたものと考えることができる。言い換えると、「過去1年以内に新設された事業所を含むすべての事業所であって、翌年までに廃止されなかった事業所」が母集団である。そして、X+1年の標本は、「X+1年に存在し、X年にも存在していた事業所」という母集団から抽出されたものと考えることができる。同じように言い換えると、「過去1年間に新設された事業所を含まず、今後1年間に廃止されるものを含むすべての事業所」が母手段である。この二つの母集団は異なる。比較の意味がない。
本来であれば、X+1年の標本は、「X+1年に存在し、X+2年にも存在していた事業所」という母集団から抽出されたものでなければならない。
実際には、このような抽出はX+2年にならないとできない。速報性を重んじる毎月勤労統計にはなじまない。


共通事業所の比較が意味を持つのは、事業所の新設改廃がない場合に限られるだろう。

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