国は財政的な負担を負わずに支出を無限に増やすことができるか。

「国は財政的な負担を負わずに支出を無限に増やすことができる」と主張するときには、次のようなスキームが考えられていると思います。
1 政府が支出を増やす。その資金は国債を発行して調達する。
2 発行する国債は中央銀行が全額引き受ける。
3 中央銀行は、引き受けるための資金を中央銀行券の増発と準備預金残高を増やすことによって調達する。
4 これによって、中央銀行の資産は国債引き受け分だけ増加し、負債は銀行券の増発分、準備預金の増加分だけ増加し、資産と負債のバランスは保たれる。
5 国は中央銀行に国債発行分の利子を支払う。中央銀行は銀行券発行、準備預金に対して利子を支払う必要はない。中央銀行の利益は引き受けた国債の利子分だけ増える。中央銀行は、増えた利益を国に納付する。支払った利子は納付金によって相殺される。

 このスキームが機能すれば、国民に新たな金銭上の負担を負わせることなく、政府の支出を増やすことができることになる。しかし、このスキームには限界がある。銀行券の残高を様々な経済主体が保有を望む額以上に増やすことはできない。望む以上の銀行券を持ったものは、銀行に預金することになる。預金を受け入れた銀行は、銀行券を中央銀行に預けて、準備預金とする。しかし、準備預金(超過準備)も民間銀行が望む以上に保有させることはできない。したがって、国債発行残高がある限界を超えた場合には、準備預金に金利を付けて、民間銀行がより多くの準備預金を保有することを希望するようにしなければならなくなる。この利子分だけ中央銀行の利益は減り、国への納付額が減る。その段階では国民負担が発生する。国民の負担なしに、政府の支出を無限に増やすことはできない。
 なお、民間銀行が準備預金残高を減らすためには、中央銀行からの借り入れを返済するか、中央銀行の資産を購入する必要がある。中央銀行は、短期金利を安定させるように、日々貸し出し、その回収、短期国債の買い入れ、売却などを行っている。希望する額以上の準備預金を保有している銀行は、この調節を利用して、残高を減らすことができる。
 もし、民間銀行が準備預金の残高を減らす機会を与えないようにするなら、貸し出しの返済を認めず、資産の売却をしないようにしなければならない。前者は不可能である。後者は、短期金利を引き上げる操作は行わないことを意味する。
 

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