2012年から2019年までの経済のパフォーマンスの回顧と教訓 その3

GNEによる検証
 財・サービス市場で大幅な需給ギャップが生じていたとしたら古典的な総需要拡大策が有効であったはずである。GNEの動きを基に検証をしてみる。
 日銀による大幅な金融緩和は円安を招いたと思われる。2012年の1ドル79.8円から19年には109円になった。これが実質輸出の持続的な増加をもたらした。特に伸びが大きいのは2014年と2017年であった。2012年と2019年を比較すると18.6兆円、25.4%の増加であった。この増分は、この間の実質GDPの増加額37兆円の半分に当たる。輸出産業の供給力追制約があったとは考えられない。
 大幅な金融緩和と輸出の増加は、実質民間企業設備投資の 増加にもつながったと思われる。設備投資は13.8兆円、19.0%の増加であった。GDPの増分に占める割合は37%だった。輸出と合わせると90%に近い。設備投資を支える産業にも供給力の制約があったとは言えない。
 なお、円安は輸入物価の上昇などを通じて交易条件の悪化を招き、交易損失を発生させるが、国際的な資源価格の下落などにより、2019年の輸入物価(円ベース)は2012年とほぼ同じ、輸出物価は8.6%上昇した。このため、2012年比4兆円を超える交易利得が発生し、実質国内総所得は8.4%増加した。これはDGPの増加率7.4%を上回っている。なお、原油、天然ガスや石炭は日本の主な輸入品であり、2019年では輸入額の19%程度であった。日本銀行の輸入物価の石油・石炭・天然ガスの指数は2012年には125.4であったが、2014年には151.5まで上昇しその後、2016年には68.6まで下落し、2019年には104.4となっている。2014年までの上昇は日本経済にとって重荷であり、その後の下落は恩恵をもたらした。2014年の交易損失は2兆円を超え、2016年の交易利得は10兆円に近い。2019年の交易利得は4兆円を割っている。
 さらに、円安は海外からの所得の受取にも影響する。受取も支払いも増加したが、その差である純受取は6兆円、46.5%の増加であった。実質国内総所得は5兆円、9.4%増加した。
 この間、国際経済環境に恵まれたことは日本経済にとって大きなプラスであった。逆にいえば、今後逆の現象が起こり、国内の政策の効果が削減される恐れがあることに注意が必要である。原油価格の推移には注意を払う必要がある。

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