労働、社会問題

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zoom RSS 実質GDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?

<<   作成日時 : 2006/11/03 18:35   >>

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econ-economeさんのエントリー(http://d.hatena.ne.jp/econ-econome/20061030/p2)とは逆の問題を考えて見ます。

潜在実質GDP成長率(面倒ので、これ以後は潜在成長率にします。)は、技術の進歩(その活用度)、資本の成長、労働力の量的、質的な成長から決まるとされています。

では、現実の実質GDPが増加すると、潜在成長率は高くなるでしょうか。なお、この問題の立て方自体、経済が資源の完全利用を果たしていないことを前提にしたものだと考えています。資源が完全利用され、実質GDPが可能な最大限になっていれば、この問題は無意味ですから。

ひとつのルートは以前のエントリー(http://takamasa.at.webry.info/200609/article_14.html)で取り上げた、生産活動の活発化が労働力の質的向上をもたらし、同時に出生を増やして人口の増加をもたらすというルートです。

もうひとつ、別なルートがありそうです。好景気が人口増をもたらすという点では同じなのですが、死亡が減るというルートです。

好景気と人口増の関係を示す実証的なデータがあります。厚生労働省の人口動態統計の概数平成18年6月分です(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2006/06.html)。

ちょうど上半期1−6月分の累計が示されています。

「表1 人口動総覧」を見ると、出生が530,307人で、前年に比べて10,232人増えています。景気の回復で、出産意欲が高まったと考えれば、まさに景気回復→出生増加→人口増となっています。

しかも、同じ表を見ると婚姻も増えています。359、304件で10,221件の増加です。これも将来の出産に繋がるでしょう。何せ、結婚から第一子出産までの期間のピークは6ヶ月ですから。(厚生労働省 『平成17年度出産に関する統計の概況』http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo05/syussyo3.html#3-2

もうひとつは、死亡です。557,140人で、こちらは4,963人減っています。これが景気と同関係しているかは、「表2 主な死因別死亡数」を見なければなりません。

死亡が減った最大の理由は「脳血管疾患」の減少です。3009人減っています。これも景気と関係しているかもしれません。しかし、もっと関係がありそうなのが、第二位の「自殺」減少です。1,254人減っています。景気回復に伴って、中高年男性の自殺が減ったのかもしれません。もしそうなら、景気回復→死亡減少→人口増となっていいることになります。

ついでですが、人口増加→需要増加(生きている限り、衣食住必要ですから)→生産増加(の期待)→投資増加→資本の増加=潜在成長率の高まりというルートもありえます。

で、この命題、「実質GDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がる」が正しければ、その対偶「潜在実質GDP成長率を高めないことは実質GDPが高まらないことに繋がる」も正しいことになります。長期的に見ればですが。


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「実質DDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?」で、景気と人口の変化の関係を調べてみました。 ...続きを見る
労働、社会問題
2006/11/08 20:43

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
TB頂きどうもありがとうございます。興味深く拝見しました。
現在の景気拡大はご案内の通りいざなぎ景気と比較されるところですが、当時の下村治が何を考えていたのか、という点を考えていくと興味深いところです。
平家さんが仰るように内生的成長論のような観点もありえると思いますが、僕の関心は数値として把握される潜在成長率を政策の指標とするのであれば余計に数値として把握される短期的な需要動向(当然それは長期の成長経路に繋がるところであるのでしょうが)に注意を払わなくてはならないのでは、というところにあります。下村の危機感は「果たして投資を行うに足るだけの潜在的な需要があるのか?」というところにあったと思います。現在、潜在的な需要はあるのか、そしてそれは政策的に喚起していくことが可能なのか、という点を考えていきたいところです。
econ-econome
2006/11/05 02:27
『統計』っていうと「統計学」しか思い浮かべないもんですから、こういう分野があることをコロっと忘れていました。無論、統計学の一部として産業連関表とか、経済のダイナミックスを分析する手段としての特殊な時系列分析とかの存在は知っているのですが、生きた道具として使われているのを見たのは久しぶりだったんです。
こういう半定量的なとりあつかいは、実際の数字で定量的に検証されないとダメなんですよね?それとも現在のような「理想化された世界を扱っている」計量経済学はお嫌いですか(笑)?私は個人的には、両方のいい所取りした物ができればいいな、と思っているんですが(笑)。
廣瀬_敏之
2006/11/05 04:21
econ-economeさん、コメントありがとうございます。近く、安倍政権の経済政策を巡るエントリーを書く予定です。あまり、期待なさらずにお待ち下さい。
平家
2006/11/06 23:29
廣瀬俊之さん、ようこそ。
統計学は、やはり道具として使わなければ・・・と思います。
計量経済学は、大好きです。ただ、苦手なものですから・・・。
こういう経済と人口をまたがるモデルは、今、人口予測の観点から話題になっています。いいモデルが開発されるといいのですが。
平家
2006/11/06 23:32

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