労働、社会問題

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zoom RSS 研修生の保護

<<   作成日時 : 2007/05/19 21:54   >>

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研修生の保護について考えていたのですが、基本的な方向が二つあります。hamachanさんも引用されている経済産業省の報告書が、意外にバランスよく記述しているので、引用します。

現在の制度の運用実態に鑑み、研修期間中の研修生の保護を強化することも課題となっている。これに関して、当初から研修生を労働者と考え(すなわち、当初から実習と位置づける)、労働法の適用により研修生を保護すべきとの考え方もある。現在、研修生に対して労働法規が明示的に適用されていないことが、研修生の酷使など趣旨に合致しない運用につながっているとの指摘もあり、一定の合理性がある。すなわち、罰則を伴う労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等の適用対象となるとともに、明示的に労働基準監督署の指導対象とされることで、悪質な運用に対する抑止効果が期待できる。 他方で、このような取扱により、「研修生は労働者である」という認識が行き過ぎる場合には、技能移転による国際貢献という趣旨が弱まり、体系的な技能教育の実施や、宿舎の確保、生活指導、日本語教育等の支援を企業負担で実施する意欲の減退につながる恐れもないわけではない。 この点については、本研究会でも双方の議論があったところであるが、研究会の結論としては、現行の一年間の研修を継続し、その間の受入機関による「体系的な技能教育」、「日本語教育」、「生活支援」等の法令上の明確な義務づけ、研修生による申告・相談の仕組みの整備、罰則の強化等により、研修生の保護を図り、研修の内容を充実させるという考え方を採用した。

経済産業省研究会の提案しているのは、市民法的な原理、契約自由の原則にたちつつ、一般的な刑法などによる保護と若干の行政的な手法で対応しようというものです。

厚生労働省の研究会の方向は、市民法的な原理では不十分であるとして、労働法的な原理で問題を解決するものです。労働法で契約自由の原理を修正するとともに行政が法の履行確保のために積極的に監督を行うというシステムです。

二つの報告書や読んで記憶が呼び覚まされます。これは徒弟の弊害そのものでありませんか?かつて、中小企業で徒弟の酷使、家事労働の強制、労働の搾取などが行われ、この弊害を除去するために工場法などで、工場に収容する徒弟は一定の指導者の指導監督の下で訓練を受け、年齢、就業方法、徒弟契約などについて一定の条件を満たしたときに限り、国から認められていたはずです。

徒弟のかなりの部分は地方出身者で都市部に出てきて、徒弟になっていたのではないかと推測します。

徒弟を研修生、実習生に変え、地方出身者を開発途上国から来た外国人とすれば、ほとんど、昔の問題の再現です。時代は変わっても、働く人間がいる限り同じ問題が発生し続けます。

さて、hamachanさんが、こう書かれています。
「労働者ではないという虚構の上に制度を組み立てるというのはもういい加減やめた方がいいと思いますね。」(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_6b23.html)「重要なのは、労働者としての保護をきちんと図りつつ、技能養成の要件をしっかりと守らせることだと思いますよ。」(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_8cc4.html

ごもっともですが、外国人特有の問題に対する配慮も必要です。深刻なのが外国の送り出し機関による送り出し料の徴収とその前貸し(研修生・実習生から見れば前借)、彼らによる拘束(彼らは使用者ではありませんから労働法の適用は受けません。)、一次受け入れ機関、二次受け入れ機関によるパスポートの取り上げ(これを禁止する規定は労働法にはありません。)など、労働法や一般刑法では想定されていない問題です。

労働法の適用だけでは不十分でしょう。

また、研修+技能実習という技能実習制度の目的を達成するために、「技能養成の要件をしっかりと守らせる」のは、現行の労働法だけでは無理でしょう。対応する規定がありません。

基本的には、研修生であれ実習生であれ、特定の研修実習先でしか、研修、実習できません。契約に違反されても、泣き寝入りするか、帰国するかの選択しかありません。帰国すれば借金地獄です。日本の法律にも疎いですから、裁判に訴えることも事実上できません。およそ、市民法的な原理が機能しない世界です。契約の不履行に対して、対抗手段が事実上ないのですから、市場の力でおのずからバランスが保たれるということはありえません。労働法という形で行うか、研修法を作るか、どちらにせよ、市民法的な原理だけでは対応できないと思います。国による規制、行政機関による監督、違反に対する刑事罰が不可欠です。

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