労働、社会問題

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<<   作成日時 : 2007/07/11 21:48   >>

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少し、古い話になるのですが、毎日新聞の2007年7月6日の「主張 提言 討論の広場」で介護保険が取り上げられています。

その中で堤修三大阪大大学院教授が、ご意見を書かれています。

「厚生労働省で介護保険創設実施を担当した者として、当時を振り返りつつ、介護保健サービスと民間企業の問題について考え方を述べておきたい。」

こういう前置きをされた上で、介護保険制度創設の理由をについて、次のように述べられています。

「社会保険制度へ転換し、公・私や営利・非営利を問わず一定の条件を満たす事業者の自由な参入を認めることによりサービス量を大幅に増やすとともに、事業者が利用者と契約を結ぶ形にすることよって、利用者本位のサービス提供を実現しようと考えたのである。
実際、訪問介護やグループホームなどを中心に参入が相次ぎ、当初危惧されたような『保険あってサービスなし』という事態になることは避けられた。」

制度発足当初は確かにそうだったでしょう。でも、それは、「介護労働者の立ち去り その2」で書いたように、労働者を「制度発足時に労働市場がタイトでなく、比較的容易に、といっても集める側の担当者は相当苦労したと思いますが、集められた」からです。その条件が変わったときの備えは制度に組み込まれていないように見えます。

さらに次のように書かれています。

「しかし、反面、介護報酬の不正請求などの問題を起こす事業者が民間企業を中心に相次いで出てきたことも事実である。」

これはその通りです。ですから、その原因が何かを考え、対策を講じるべきでしょう。しかし、なぜか、原因を検討しないまま、対策らしきものはこれです。

「今回のコムソンの問題は”節度”以前の明確なルール違反が大半であり、それに対して厳格な対応が取られることは当然である。」

それはそうでしょう。しかし、それで「介護報酬の不正請求などの問題」はなくなるのでしょうか。厳しい対応の前に、厳しい監視が必要ではありませんか。また、そのような対応をすると「訪問介護やグループホームなどを中心に」退出が「相次ぎ、当初危惧されたような『保険あってサービスなし』という事態」に立ち至りませんか?都道府県や市町村の担当者はそれで困ってるのではありませんか?

そして、なぜか、突然、先ほどの事実とは関係のないことが取り上げられます。

「介護保険サービスの市場は完全な市場ではなく、介護保険で下支えされた準市場なのである。とすれば、介護保険サービスを提供する事業者も、それを購入する利用者も、サービス費用の9割は保険料や税で支えられているということに思いを致し、それらの行為を”節度を持って”行うべきであろう。」(「それらの行為」というのはサービス提供や購入のことでしょう。)

社会保険制度に「営利・非営利を問わず一定の条件を満たす事業者の自由な参入を認め」たことと矛盾しませんか?介護サービスの基準とその対価は国が決めているのでしょう。事業者はそれだけの価値のあると国が認めたサービスを提供しているのですから、正当な対価を要求するのは当たり前です。

過剰な供給が行われているというなら審査体制の整備が必要です。利益を求める企業のすごさを理解されていないのではありませんか?犯罪すれすれ、あるいは法を犯してでも利益を求める可能性を秘めているのが、営利を目的とする企業です。猫ではありません。虎です。虎を引き込むなら、それだけの覚悟が必要です。

私は、営利企業の参入を認めることは賛成ですが、それには相当な覚悟をして、虎をコントロールする手だてを用意しておかなければなりません。それは厳しい監視とルール違反を見つけたときの制裁です。そして最も厳しい制裁である退出を求めるためには、そういう行為をした企業を退出させても、すぐに別な企業がサービスを提供するという条件を整えておかなければなりません。そうでなければ足元を見られます。

他の企業によるサービス提供を確保する条件とは、労働者にそれなりの賃金を支払っても、ある程度の利益が出るように介護報酬を決めておくことです。

ところが、堤教授はもっと高い基準を要求されるのです。

「単にルール違反がなければ構わないというのではなく、節度を守るための行動規範を策定するなど、事業者には信頼回復のための地道な取り組みが求められている。そういう取り組みがあってはじめて、介護人材確保のための報酬引き上げの道も開けてくるだろう。」

逆でしょう。介護報酬を引き上げてこそ、ルール違反がなくなるのです。節度はそこから先の話です。

前回、こう書きました。

「私は、今後、問題が相当深刻にならない限り、国民は新たな負担を受け入れないと思っています。相続税や資産税いずれも政策としての妥当性はあっても、政治家は国民の抵抗が強いと判断し、国民に選挙公約として提案することはないでしょう。」

「給付体制が崩壊に瀕して、初めて真剣な議論が政治の場で行われるのではないでしょうか?」

真剣な議論をするべき時が来ています。

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